2021.11.26 住所非公開、完全紹介制にした理由と私の想い CUSTOMER

マンション建設によるビル取り壊しのため、当店は20211112日から移転しました。移転を機に住所非公開・完全紹介制とさせていただきましたが、今回はそうさせていただいた理由と私の想いをお話したいと思います。

自己主張のスーツが欲しい方だけのために

大きな理由の一つは、既存の顧客様とヴィンテージスーツに興味を持たれたお客様を、これまで以上に大切にしたいと思ったからです。

一般的なビジネススーツとヴィンテージスーツを比較すると、前者は見た目やルールを重視して選ぶスーツである一方、後者は自己主張という色合いが強いスーツです。ビジネススーツを求める方が圧倒的に数は多く、大きな売上を狙うのであれば、そういった方もターゲットにするべきです。でも私はそれよりも、カッコよくありたい、粋でいたいと主張される方のためだけに、ヴィンテージスーツを提供していきたいのです。それに、オーダースーツのお店が乱立される昨今、その枠から少し離れた特別な店でありたいと思っています。

そのためには住所非公開、完全紹介制とすることがベストだと判断しました。深く、狭く、ニッチなゾーンを突き詰めていくことで、これまで以上のサービスを提供できると思っています。

あえてフィルターをかける勇気

ただ、非公開・紹介制することは大きな決断でした。特に非公開とすると「よほど儲かっているんだな」と、ある意味ネガティブに捉える方もいらっしゃるかもしれません。それに簡単に訪れることができなくなるので、新規のお客様が少なくなるリスクも当然あります。売上を追いかけるなら、やらない方がいいに決まっています。

しかしあえて、顧客様とご紹介様だけというフィルターをかけました。それがヴィンテージスーツを探されている方にとっての特別感や、満足度につながると考えたからです。私自身、出張やイベント出展、一歩踏み込んだご提案のために考える時間を増やせます。それに大人がゆっくり過ごせる落ち着いた空間にできます。ひと言で表すならヴィンテージ好きのための秘密の隠れ家。この場所から、新たなコミュニティが生まれることも期待しています。

お茶屋のように特別な存在に

2004年にこのGENTRYをオープンして以来、ヴィンテージ生地にこだわり特別な空気感を持つスーツをご提供し続けてきました。日本初は当店だと自負しておりますし、この17年で磨き続けてきた技術や生地をさがす嗅覚には自信を持っています。もちろん現在に至るまでには、いろいろと困難や苦労はたくさんありましたし、今後もあるはずです。

だからこそ移転のタイミングで、私がやりたいことを明確にし、これまで以上に徹底しようと考えました。それは、儲かる儲からないではなく、私やお客様が面白いと感じるかどうかを最優先にすることでした。

 一見さんお断りといえば京都のお茶屋が有名ですが、いつかは行ってみたい憧れの場所ではないでしょうか? 粋でありながら風格もあり、お客様にとっては拠り所のような場所。

つまり、一見さんには敷居が高く、常連さんにとっては敷居が低いお店です。私はお客様ともっと交流を深め、何も聞かなくても生地や仕立てのご提案が自然とできる。そこには気品あるヴィンテージスーツを求めるお客様が訪れる。ヴィンテージスーツを通じたファミリーが集まるお店にできたらと思っています。